ウイスキーの科学

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ウイスキーの科学 古賀邦正

熟成過程で,何が起きているのか,まだ良くわかっていないらしい.
これほどまでに科学が進歩してきているのにも関わらず,わかっていないということにワクワクを感じる.
やはり,「食」というのは,非常に奥が深い.

最近のIT技術の進展は、ますますわれわれの社会を便利にしてくれた。便利さの指標の一つは「待たない」、「待たせない」ということだ。いまや私たちは「待たない社会」、「待たせない社会」をつくりあげてしまったともいえる。そのような社会は、たしかに「受動的に待つ」機会や人を減らすという点では
評価できる。だが同時に、「能動的に待つ」機会や人をそぎ落とすという点では危惧すべき側面を持っている。それは、想像力や自制心というきわめて知的な要素を社会からそぎ落とすことにつながる。「待たない社会」、「待たせない社会」は、気づかぬうちに「待てない社会」に陥ってしまってはいないだろうか。
「桃栗三年、柿八年」という言葉にあるように、待たなければ育たないもの、達成できないことがある。人は、人智を超えた時の流れにしかなしえない働きに対して、謙虚にならなければならない。しかし「待てない社会」は、そのことから目をそらそうとしている。社会のそのような流れのなかで、10年後、あるいはそれ以上も先の品質を想像して、ひたすら待ちつづけるウイスキー造りとは、きわめて特異な営みであるといえる。何かを夢見て「待つ」ことの大事さを示す身近な象徴として、ウイスキーは実に貴重な製品ということができるだろう。

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